そう・・・あれは、昨年の事・・・

 

「フー。寒いな。年末なのに売上が伸びないし、俺はビデオ嫌いだし・・・参ったな・・・」

トレンチコートに身を包んだ私は、のらりくらりと繁華街をあても無く歩いていました。そこに・・・

「ショチョさん!そこのショチョさ〜ん!」

アケミとの出会いです。

 

いくら店の売上が伸びない。彼女もいない。髪も洗っていない。という無い無い尽くしの私、クールガイ笹山でもプライドというものがあります。そんなちょこざいな『ショチョさん!そこのショチョさ〜ん!』とか言っちゃってる客引きに、おいそれと着いて行く訳が無い!

「ショチョさ〜ん!プラッピに似てますね〜。」

1時間だけ立ち寄る事にしました。

 

そこでアケミと大いに語らいました。縦横無尽に語らいました。やれ私はショチョさんではない。店長だ。とか。やれ私には彼女は星の数ほどいるが今はフリーです。とか。やれ髪はヴィダル・サ・スーンクゥオリティーをポンプ3回分を惜しげも無く使ってる。とか・・・

あれよあれよという間にアケミとお付き合いをする事になりました。ま、星の数ほど?彼女はいますが?なんて言うんですが?遊び?いやいやいや。勘違いしてもらっては困ります。なんせ。私、申し訳ありませんがプラピですから!申し訳ない!そこの所は真に申し訳ない!

 

と、まあアケミと出会ってから・・・えー、そうですね。2週間位ですかね。その日は。そうです!付き合ってから2週間記念という事でルイ・ヴィトンのボストンバッグをプレゼントした時でした。因みに1週間記念は同じくヴィトンのセカンドバッグです。(因みに3週間記念にはヴィトンのドラムバックでも。と考えておりました。)

アケミがこう切り出しました。

「ショチョさん。実はアケミ・・・」
「どうしたんだい?アケミ?」
「実は・・・もともっと綺麗になりたいの!」
「おいおいおい。アケミ。君は充分御綺麗さ!」
「違うのショチョさん。アケミね?・・・スエヒロさんみたいになりたいのよ。」
「スエ?広末?」
「そう・・・スエヒロ・・・」
「なななな何言ってんだ!アケミ!もうオーバー広末してるじゃないか!全然だよ!全然ウイナーだよ!」
「そうなの・・・でもお金があれば・・・もっとオーバースエヒロになれる!そうアケミ思う!」

アケミの決心はとても強固のものでした。いくら巷では整形手術が流行しているからといっても、アケミのナチュラルな美貌を人工的な手ほどきによってバージョンアップさせる訳がありません!この私、クールガイ笹山の面子にかけてアケミに待ったをかけましたよ。

「アケミ!幾らくらい必要なんだ!」
「3ケタ・・・」

 

 

あれから1週間───

アケミがこの町から消えました。

 

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